
【概要】
山形大学社会共創デジタル学環では、1年生必修科目「共創実践演習Ⅰ」の地域課題解決パートにおいて、山形市社会福祉協議会および山形市第八地区社会福祉協議会と連携したアクティブラーニング型授業を、2026年5月から7月にかけて実施します。 本授業では、地域の高齢者が抱える「必要な情報をタイムリーに得にくい」という課題を対象に、学生が当事者へのインタビューや現地でのフィールドワークを通して実態を把握し、課題分析からアイデア創出、プロトタイピング、事業モデル設計までを一貫して行います。 近年、行政情報や地域情報のデジタル化が進む一方で、高齢者の中にはスマートフォンやインターネットの活用が難しい人も少なくありません。その結果、熊出没情報をはじめとする生活の安全に関わる最新情報が十分に届かず、不安や被害リスクにつながることが懸念されています。 授業には1年生 約30名が参加し、6グループに分かれて活動します。授業内では高齢者本人へのインタビューを実施し、必要に応じて自宅訪問などのフィールドワークも行います。最終成果発表は、2026年7月29日に山形大学小白川キャンパスの共創ラボラトリーで開催予定です。
【背景】
人口減少や高齢化が進む地域社会では、情報格差が暮らしの安全や生活の質に直結する課題になっています。特に、災害情報や防犯情報、熊出没情報など、迅速な把握が求められる情報については、デジタル機器の操作に不慣れな高齢者に十分届かない場合があります。
こうした課題に対し、山形大学社会共創デジタル学環では、学生が地域の現実の課題に向き合い、多様な主体と協働しながら解決策を構想・試作する教育を重視しています。本授業は、その実践の一つとして、地域の関係機関と連携しながら行うプロジェクト型学習です。
【授業内容】
授業名:共創実践演習Ⅰ(地域課題解決パート)
実施主体:山形大学社会共創デジタル学環
実施期間:2026年5月~7月
授業回数:全10回
参加学生:1年生 約30名
グループ数:6グループ
連携団体:山形市社会福祉協議会、山形市第八地区社会福祉協議会
教員:三冨敬太(社会共創デジタル学環 准教授)、齊藤 美咲(非常勤講師/株式会社コンセント サービスデザイナー)、伊藤 順哉(非常勤講師/株式会社つるかめ 代表取締役社長)
授業では、主に以下の流れで学びを進めます。
・高齢者へのインタビューによる課題発見
・情報取得に関する実態の分析
・解決策のアイデア創出
・サービス案・プロトタイプの作成
・事業モデルの設計
・最終成果発表
学生は、教室内で検討を進めるだけでなく、必要に応じて高齢者の生活現場に赴き、情報取得の実態や困りごとを把握しながら、実情に即した提案をまとめます。
【今後の展望】
本授業を通して、学生は地域社会の実課題を自分ごととして捉え、当事者の声を踏まえて課題を発見・整理し、具体的な提案へと落とし込む力を養います。また、地域団体との協働を通じて、大学の学びを地域の現場に接続する教育モデルとしての発展も期待されます。
今後は、授業で生まれた提案やプロトタイプを地域課題解決の実践知として蓄積し、地域福祉や地域情報流通のあり方を考える契機につなげていきます。
【コメント】
・山形市社会福祉協議会 阿部 友季子コメント
地域では、高齢者の方々が必要な情報を十分に得られず、不安や困りごとを抱える場面があります。特に、熊出没情報のように安全に直結する情報については、迅速かつわかりやすく届く仕組みが重要です。今回の授業では、学生の皆さんが高齢者の声を直接聞き、地域の実情に向き合いながら解決策を考えてくださることを大変心強く感じています。若い視点ならではの柔軟な発想から、地域に新しい気づきや可能性が生まれることを期待しています。
・山形市第八地区社会福祉協議会 コメント
地域の見守りや支え合いを進めるうえで、情報の届け方はとても重要な課題です。一方で、その課題は地域の中だけで解決するのが難しい面もあります。今回、大学の授業の中で学生の皆さんが地域に入り、実際に高齢者の声を聞きながら提案を考えてくださることには大きな意義があると考えています。地域の現場を知ることと、新しい発想を持ち込むことの両方が結びつくことで、今後の地域福祉にとって有意義な取り組みになることを期待しています。
・担当教員(三冨敬太)コメント
本学環では、学生が教室の中だけで考えるのではなく、地域の方々と連携しながら当事者の声を聞き、課題を自分ごととして捉えることを重視しています。高齢者の情報取得という課題は、単なるデジタル活用の問題ではなく、地域で安全に、安心して暮らし続けるための基盤に関わるテーマです。学生には、自分だからこそ提案できる施策を提案してもらい、授業後の継続的な展開や社会実装にもつながる提案が生まれることを期待しています。